いつか決めるぜ稲妻シュート?

攻めろ!攻めろ!吉野君編


昨年までとは打って変わった猛キャンプ・・・

一軍の座を争う敵ではない、一年間を共に戦い抜くチームメイトとの憩いの一時。

その時、それは起こった。

我々はベースボーラーだ。

「どーせならカントでも読んでみなさいって言うんですよね」

学識は関係ない。

「やだやだ高卒は」

学歴も関係ない。

「一人だけ真面目ぶって本なんか読んじゃって・・・」

問題はこれだ。

良く見て欲しい。

真面目とは言っていない、真面目ぶって、真面目の振りをしてと言っているのだ。

本当に真面目であれば、最新のトレーニング方法を研究することこそあれ今更ピッチャーバイタルなんて場違いなことを学ぼうとはしない。

場違いなことをしている・・・それに気づいて欲しいからこそ、伊能兄は学などと言う場違いなものを持ち出したのだ。

そもそも、事の始まりはもっと以前にあった。

休憩に際して、彼は一人異議を差し挟んだのだ。

伊能兄はチームのキャプテン、中間管理職。

ピッチャーに走り込みが重要なことなど重々承知している。

しかし、それでいてなお「皆さん」と休憩を促したのだ。

それも全て・・・

選手の疲労を慮ってこそのことである。

しかし、吉野選手は”皆さん”と言う言葉を無視して自分だけ走り込みを行おうとした。

これが、”僕ピッチャーは”ならばキャプテン伊能も許したかもしれない。

*「オレ”も”」  は、赤井コーチに走らされているロートル組をさしている。

しかし、彼が考えたのは自分のことだけだったのである。

そもそも・・・・と言うか、思い出して欲しい。

赤井コーチも言っている。才能がある奴が怠けるのは許せないと。

そう、才能の無い吉野君がこれ以上の走り込みをしない。それは、怠けでも何でも無い、分相応と言うものである。

一年だけのエース。

一年だけのスーパースター

そんなものは敵も味方もたくさん見てきた。

哀しい者をあえて作る必要はない。

万年一軍半の吉野選手に必要なのは書ではない、まして、一人でやるトレーニングでもない。

壊れない完璧な物などない。あるとすれば、それは・・・

野球ってゲームはな チームでやるから楽しいんだぞ  −友部蓮司−

つまりは、そういうことをキャプテン・伊能は言いたかったのではないだろうか?